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新型コロナウィルス感染拡大でもテレワークが進まない中小企業の課題

「三密(密集、密接、密閉)」狀態を避けることが新型コロナウィルス感染拡大を未然に防ぐ効果的な施策だ。そのため三密狀態となりやすいオフィスを閉鎖し、全社的にテレワークに切り替える企業が増えている。一方、國內企業の大半を占める中小企業ではテレワーク導入率が著しく低いことが判明し、喫緊の課題となっている。中小企業がテレワークを導入するためには何が必要なのだろうか。

2020年 04月 23日
テレワーク導入に3つの課題
社內體制?IT設備?セキュリティ

新型コロナウィルスの感染拡大を背景に、接觸感染を未然に防ぐためにテレワークにシフトする動きが顕在化しているが、その動きは大手企業が中心で、事業規模が小さい中小企業になるほどテレワーク導入率が低いことが判明した。

東京商工會議所が2020年4月8日発表した會員企業に対するアンケート調査「新型コロナウィルス感染癥への対応について」(回答數1,307社)によると、テレワークを実施している企業は全體で26%。そのうち従業員數300人以上では57.1%と実施率が高い半面、従業員數50人未満では実施率は14.4%と全體平均を大きく下回る結果となった。

同調査「テレワーク実施を検討するにあたっての課題」によると「社內體制の整備(仕事の管理、労務管理?評価など)」、「パソコンやスマホ等の機器やネットワーク環境(LAN等)の設備が十分ではない」、「セキュリティ上の不安がある」の3つが主な課題であることが浮き彫りになった(回答「テレワーク可能な業務がない」は除く)。これは従業員數50人未満の企業でも同様だ。

日本における全企業のうち中小企業が占める割合は99%超。中小企業の屋臺骨が揺らぐことで雇用不安が拡大し、さらなる経済悪化を招きかねない切迫した狀況だ。

中小企業でテレワークを導入し、うまく機能させるために必要なこととは何か。従業員數40名弱、テレワークを主軸とした獨自の働き方「SAWS(サウス、Six Apart Working Styleの略)」を実踐するシックス?アパート株式會社の取り組みを紹介したい。

社員30名に対してオフィスは10席

「今回の新型コロナウィルスの感染拡大を機に、當社の働き方に対して多くの企業?自治體から問い合わせがある」と話すのは、シックス?アパート 広報 マネジャー 壽 かおり氏だ。

シックス?アパートはホームページ構築等のソフトウェア開発を主業とするITベンチャーだ。米國IT企業の子會社だったが2016年にEBO(従業員による企業買収)を経て獨立。現在の従業員は約30名(業務委託メンバーを含む)にのぼるが、本社オフィスの座席數は10席程度。取材時にオフィスで働いているのはわずか4名で、壽氏によると「全席埋まるのは年に1、2回程度」だ。オフィスへの出勤を月1回程度、全社員がテレワーク中心で働いているのが同社の最大の特長だ。

従前は港區のオフィスビルで約100坪ほど賃借しており、アウトドアをテーマにしたオシャレなオフィスだったというが、EBOを機に30坪程度の現オフィスへ移転した。賃料等、削減したコストは「テレワーク手當」に充てる。

壽氏は「SAWSは當社『らしい』働き方を常に意識した考え方で、中心にあるのが社員同士の信頼感」だと説明する。規則で働き方を規定するのではなく、信頼感をベースに業務を進めていくことを重視する。プロフェッショナルとして自分たちで働きやすい環境を作り出す「従業員の自主性を尊重する」ワークスタイルとして辿り著いたのがテレワークを主體とした働き方だった。

すべての業務をクラウドツールで管理

東日本大震災発生後の節電要請に対して、2011年7月から週1回テレワークを実施することにし、オフィスにおける20%節電に目指したのがSAWSの出発點だ。壽氏によると「VPNなどテレワークに必要なセキュリティの仕組みをはじめ、パソコンを持ち帰る際のルール策定、在宅勤務時でもコミュニケーションが円滑に取れるデジタルツールの導入、テレワークでも使いやすくなるように既存システムの更新などを整備していった」という。

2011年7月からの週1回のテレワークを継続する中、2016年にはEBOにより親會社から獨立。その際に働き方を見直し、従業員が自由な裁量で働き、最大のパフォーマンスを発揮するための施策として全社的にテレワークへと切り替えた。

壽氏によると「當初は労務管理や評価について従業員から不安の聲があったが、評価については出社するかしないかではなく、従前から成果中心に判斷していたことを再確認することで不安を解消した。また。ほぼすべての業務に対してクラウドツールを導入し労務管理を行っているため、各従業員の業務進捗度を透明化している」といい、個々の業務に合ったツールを使うことで「全社員テレワーク」を実現したという。

部門?職種間の不公平感をどう解消するか

一方、日本企業でリモートワークが進まない理由として「不公平感」が挙げられる。リモートワーク対応が容易な部門や職種がある一方、そうでない部門から不満の聲が上がるためリモートワーク制度を導入できないというものだ。

これに対して壽氏は「介護や育児など一定の條件を満たせばテレワーク勤務を認める企業は少なくないが、條件に合致しない従業員にとっては不公平に感じてしまう。當社のように全社員一律のルールに基づいてテレワークを実施すれば不満の聲は聞こえなくなる」と指摘する。例えば、同社の就業規則では「出社?退社」と明記されておらず、代わりに「勤務開始?終了」となっている。會社の方針として「オフィスに出社する必要がない」ことを打ち出しているのだ。

テレワーク主體でもオフィスは必要

ちなみに、テレワーク中心の働き方を実踐するものの、壽氏は「従業員が集まれる場としてオフィスは必要不可欠」との認識も示す。出社しているメンバー同士でのコミュニケーションを喚起する他、來客対応や資材の管理、システム開発等で危急の対応が求められる場合等はオフィスにプロジェクトメンバーが一堂に會し、短期集中して業務にあたる等、壽氏は「自社専用のオフィスを持つことは価値がある」と述べている。

テレワークで従業員の健康を守る

企業の働き方を調査しているJLL日本 マーケッツ事業部 柴田 才によると「今後リモートワークはリスク対策として定著する可能性が高い。しかし、円滑に業務を進めていくためにはITシステムを整備する必要がある。中小企業を対象にしたテレワーク助成金制度はあるものの、問い合わせが殺到し、即時対応が難しくなっているとの話も聞く」という。とはいえ、新型コロナウィルスの感染拡大に収束の目途が立っていない現時點では、社內制度の未整備による課題は殘しつつも、従業員の健康を第一に守るためにはテレワークを実施すべきではないだろうか。

同社の取り組みは中小企業におけるテレワーク推進のモデルケースとなりそうだ。

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